不動産コラム

賃貸物件で合鍵を作るときの注意!勝手に作るとあとで困ることに

2023/05/08

賃貸物件に住んでいると、鍵を無くしてしまうかもしれないし、家族が来たときのためにも合鍵を作っておきたいと思うことがあるでしょう。しかし、賃貸物件では、勝手に合鍵を作ってはいけません。


では、合鍵が必要な状況になったらどうすれば良いのでしょうか。一定のルールを守れば合鍵を作ることはできます。今回は、そのルールについてお話ししましょう。合鍵がないと困る状況もありますので、理由によっては認めてもらえるはずです。


合鍵を作ってはいけない理由と必要になったときの対処法について詳しく解説しますので、合鍵をどうするかで悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

賃貸物件で合鍵を作ってはいけない理由

合鍵を勝手に作ってはいけない理由は、3つあります。

1.賃貸物件の所有権は大家さんにあるため

賃貸物件は借りている家ですから、そこに住んでいる人のものではありません。家賃を払ってその部屋に住む権利を得ているだけであり、部屋の所有権はあくまでも大家さんにあります。所有者が別にいるのですから、合鍵が作れないのは当然です。

2.大家さんには安全性を確保する義務がある


大家さんの知らないところで合鍵が作られてしまうと、防犯性が下がります。


大家さん(賃貸人)は、民法第601条により、「使用収益させる義務」を負っています。これは、賃貸借の対象となる部屋を引き渡し、その部屋を適切に使えるように環境を整えるという義務です。貸主には、借主が安心・安全に暮らせるようにしなければならないため、借主が勝手に合鍵を作ってしまえば、この義務を果たせないことになります。


ですから勝手に合鍵を作ることは許されず、作るとしても大家さんの許可が必要なのです。

3.勝手に作ると契約違反になる恐れがある

上記の理由から、合鍵がどうしても必要な場合は、大家さんもしくは管理会社に申し出て、許可を得てから作ることと、契約書に書いてあることが多いです。契約書に合鍵についての記載があるのに勝手に作れば、契約違反とみなされる可能性があります。


また、その部屋を使えるのは、賃貸借契約をしている人だけのはずです。しかし合鍵があれば、契約者以外の人が自分の部屋であるかのように利用できてしまうわけです。それは、賃貸借契約に沿った使い方とはいえず、この点からも契約違反になる可能性があります。


契約違反をしたからといってすぐに強制退去になることはないですが、鍵の交換などを求められる可能性があります。

賃貸物件で合鍵を作りたいときの注意点

しかし、鍵を無くした時のためや、急に家族が訪ねてきた時のためなどに合鍵を用意しておきたい人もいると思います。一定の条件をクリアすれば、合鍵を作れる場合もあります。

賃貸契約書を確認する

まず、賃貸契約書にどのように書かれているか、確認してみましょう。合鍵を作成することを禁止しているのか、それとも作成可能としているか、すべては契約書の内容しだいです。


これから契約する人は、契約書の合鍵に関する条項を確認するとともに、契約前に合鍵の作成について確認しておきましょう。

管理会社に聞いてみる

賃貸契約書で合鍵の作成ができないとなっていたら、まず管理会社か不動産会社に聞いてみるのもありです。自分で作ることはできなくても、事情によっては管理会社が合鍵を用意してくれる場合があります。

大家さんの許可を得てから作る

合鍵を作りたいなら、大家さんまたは管理会社に事情を説明します。たとえば娘さんがひとりで上京している場合など、急に地元から親御さんが訪ねてくるかもしれません。そのときに備えて渡しておきたいなど、事情を説明します。理由によっては認めてもらえるでしょう。

勝手に合鍵を作ってもバレないのでは?と思っている人へ

契約書に合鍵禁止と書かれていても、言わなければバレないのでは?と考える人もいるでしょう。たしかに、黙って作ってもバレる可能性は少ないです。普通の合鍵を作るのに身分証明書も必要ありませんし、賃貸の鍵かどうかなどを確認されることもないため、黙って作ることは可能です。


しかし、バレない可能性もゼロではありません。契約違反したことがバレた場合、鍵を交換するくらいで済めば良いですが、最悪、強制退去もあり得るのです。そのようなリスクを犯す必要があるでしょうか?


理由があれば合鍵を認めてくれることがほとんどですから、必要ならばきちんと話をし、正当な方法で作ることをおすすめします。

許可を得て賃貸物件の合鍵を作るときに気をつけること

合鍵の作成が認められたら、鍵屋さんにいけばすぐに作ってもらえます。特殊な鍵でなければ、1,000円程度で作れるでしょう。作成に時間もかかりませんので、その場で複製できます。


ただし、合鍵の作成にはいくつか注意して欲しい点もあります。

純正の元鍵を使って作ること

部屋を借りたときに受け取った鍵が純正のものか、確認をします。元鍵には鍵番号とメーカー名が入っているはずですので、必ず確認してください。


元鍵であるはずですが、万が一、鍵番号などが入っていない鍵ですと、それ自体が合鍵の可能性があります。合鍵から合鍵を作ると、微妙な誤差が生じ、鍵が入りづらいことがあります。最悪、鍵穴を傷つけてしまうことがありますので、合鍵を作るときには必ず元鍵を使用します。


鍵屋さんによっては、合鍵から合鍵を作るのは断られるケースもあります。

本数は必要最低限にしておく

合鍵を作る許可をもらったからといって、何本も作る必要はないでしょう。紛失する恐れもありますので、本当に必要な本数に留めておいてください。基本的には自分のスペアキーとして、あとは親など信頼できる人の分だけにします。


また、安易に彼氏・彼女に渡したりしてはいけません。別れたときに鍵が回収できなければ、大変なことになります。

紛失しないように気をつけること

合鍵の作成が認められたら、退去時には全ての合鍵を返却することになりますので、無くさないように気をつけてください。特に、バッグごと紛失するなど、身元のわかるものと鍵を一緒に亡くした場合、空き巣に入られてしまう心配もありますので十分気をつけましょう。

合鍵の種類によっては作れないこともある

ギザギザのついたディスクシリンダーキー、ピンタンブラーキーなど一般的な鍵であれば、だいたいどこのお店でも対応は可能です。しかし凸凹の穴が空いたディンプルシリンダーキーは、専用の機械が必要で簡単に複製できないため、街の鍵屋さんでは断られる場合があります。


メーカーによっては登録制を取っており、証明書がないと複製が作れないときには、直接メーカーに依頼しないといけません。料金も2,000円〜5,000円と少し高めです。

退去時には合鍵を全て返却すること

自分でお金を出して作ったのに返却しなくてはならないのかと思うかもしれませんが、最初に説明した通り、その部屋はあくまでも契約によって借りていたものであり、所有権は大家さんにあります。


万が一、元鍵と合鍵全てを返却できない場合、防犯の観点から鍵そのものを交換しなければならなくなり、その費用を請求されるかもしれません。


まとめ:賃貸で合鍵を勝手に作るのはNG!必ず大家さんに許可をもらう

賃貸物件で、勝手に合鍵を作るのは基本的にNGです。その部屋は契約によって借りているだけであり、大家さんの持ち物です。人の家の合鍵を勝手に作ることはよくないことだと、誰でもわかることだと思います。


ただし、合鍵が必要な理由があれば、その理由によっては認められることがあります。許可を得れば合鍵を作れます。退去する時には、最初にもらった鍵とともに合鍵も全て返却する必要がありますから、無くさないように気をつけましょう。


勝手に作ってバレれば、契約違反で強制退去になる可能性もあります。決して黙って作らずに、大家さんや管理会社の許可を得るようにしてください。

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