不動産コラム

フリーレントとは?物件の特徴と借りるときのメリット・デメリット

2023/04/21

賃貸物件を探していると目にするフリーレントとは、家賃が一定期間無料になる物件のことです。しかしなぜ家賃が無料になるのか、その仕組みについては知らない人が多いのではないでしょうか。


また、家賃が無料になるときくとかなりお得感がありますから、他の物件よりも断然メリットが大きいと感じると思います。しかし必ずしもそうではない場合がありますので、注意が必要です。


そこで今回は、なぜ家賃をゼロにするのか、フリーレントのメリットやデメリットなどについて詳しくお話しします。注意点をよく理解した上で契約することが大切です。

フリーレントとは一定期間家賃が無料になること

フリーレントとは、読んで字のごとく、家賃が無料という意味です。物件を探していると「フリーレント2ヶ月」などと書かれているのを見かけることがあると思います。これは、賃料の2ヶ月分が無料になるということです。

どのくらいの期間無料になるかは物件によって違いますが、1〜2ヶ月程度の物件が多いです。

なぜ無料になるのか?家賃がお得になる理由

大家さんにとっては損でしかないように見えるフリーレントですが、なぜ一定期間無料にしてくれるのでしょうか?それは、無料にしてでも入居して欲しいからです。


周辺の物件が普通に家賃を徴収する中で、自分の物件が1ヶ月でも「家賃を無料にする」といえば、部屋探しをしている人からすればかなりお得に見えるはずです。同じような間取りで家賃にも差がないのであれば、フリーレントがついている物件の方が選ばれる確率が高いです。


しかし無料にした分、減収になってしまいそうですが、長い目で見ればそうでもありません。


たとえば、なかなか入居者が入らないとき、大家さんは家賃を下げようか…と悩みますが、家賃を下げるよりもフリーレントにした方が家賃収入が大きくなることがあります。


【家賃80,000円、フリーレント1ヶ月】

80,000円×23ヶ月=1,840,000円


【家賃75,000円に下げる】

75,000円×24ヶ月=1,800,000円


家賃というのは、一度下げてしまうと上げることが難しくなります。また、すでにその物件に住んでいる人からすると、同じ条件の部屋なのに不公平だと不満が出る恐れもあります。ですから、安易に家賃を下げるよりもフリーレントにした方が、家賃を変えずに済み、なおかつ家賃を下げるよりも収入を高くすることが可能です。


空室が続いているならなおさら、そのまま人が入らない状態が続くよりも、フリーレントにしてでもすぐに入居者が見つかった方が大家さんとしても確実に収入を手にできるのですから、ありがたいというわけです。

フリーレントのメリット

フリーレントのメリットは、やはり費用を抑えられることでしょう。引越しの時期によっては二重に発生してしまう家賃を払わずに済むこともできます。

初期費用を抑えられる

  • 敷金・礼金:それぞれ家賃の1〜2ヶ月分
  • 前家賃:1ヶ月分
  • 日割り家賃:月の途中で入居する場合
  • 仲介手数料:家賃の1ヶ月分(上限)
  • 火災保険料:15,000円〜20,000円程度

たとえば家賃が7万円だったとしますと、敷金・礼金、前家賃、仲介手数料で最大42万円、それに日割り家賃と火災保険料が加わりますので、45万円は超えるでしょう。家賃が高くなれば、当然その分初期費用も高くなります。引っ越すだけで50万円近い出費は大きな痛手です。


ですから、1〜2ヶ月分の家賃がゼロになるというのがいかに有難いことだかわかるでしょう。できるだけ初期費用を抑えたいと思っている人には大きなメリットとなります。

二重家賃が発生しないこと

次に借りる部屋の家賃が発生するタイミングで引っ越しができれば良いのですが、スケジュール的に難しい場合があります。特に、人気のある部屋は迷っているとすぐに契約されてしまうため、気に入った部屋があったらすぐに申し込まなくてはなりません。


そうなると、現在住んでいる部屋の家賃と、新しく契約した部屋の家賃、二重に家賃が発生することになります。引っ越し時の初期費用にさらに家賃1ヶ月分が上乗せされることになり、大きな出費となってしまいます。


フリーレントが利用できれば新しい部屋の家賃を払わなくて済むので、二重家賃の問題も発生しませんし、急がなくてもスケジュールに余裕を持って引っ越しできます。

フリーレントのデメリット

家賃がタダになるのですからメリットばかりのようにも感じますが、実はデメリットもあります。フリーレントの物件を選ぶ時には、このデメリットもしっかりと理解した上で契約することが大切です。

相場よりも家賃が高いことがある

「家賃1ヶ月無料」といわれるととてもお得に感じますが、本当にそうなのか、冷静に家賃を比較してみた方が良いでしょう。


その周辺の物件で、同じような間取り、築年数の賃貸物件と比較してそれほど家賃が変わらないのであれば、本当にお得な物件といえます。しかし、一般的にフリーレントの物件は、平均家賃よりも高い傾向にあるのです。


最初に、なぜ大家さんが損失が出るようなフリーレントを実施するのか、その理由を説明しました。家賃を下げて入居者を募集するよりも、家賃はそのままで1ヶ月分無料にした方がトータルで収益が高くなるからです。


つまり、多少家賃が高めでもフリーレントにすれば「お得だ!」と思って入居してくれる人がいるということですから、あえて家賃を周りと同じにする必要がないのです。ですから、本当にお得なのかは、フリーレントの物件とそれ以外の物件について自分が住む予定の年数分の家賃を計算し、比較してみる必要があります。


その上でフリーレント物件の方がお得なら、迷わず選びましょう。

一定期間住まないと違約金がかかることが多い

フリーレント物件は、お得になる代わりに一定期間住むことが条件になっていることが多いです。一般的には、1年以上の居住が条件です。


契約書で定められた期間内に引っ越しする必要が生じた場合、契約違反となり違約金を払わなくてはならない場合がありますので、気をつけましょう。契約する前に、フリーレントになる条件をきちんと確認してください。


その期間内に転勤や引っ越しの可能性がある人は、フリーレント物件は避けた方が良いでしょう。

人気のない物件かもしれない

築年数が浅く駅から近いなど人気の物件は、フリーレントにしなくても入居者が集まります。つまり、フリーレントにでもしないと入居者が集まらない、人気のない物件である可能性があります。


人気がなくとも自分の目で見て「この物件がいい」と思ったのであればなんの問題もありませんが、空室が続いている理由が何かあるかのもしれません。安さに釣られず、本当にその物件で良いのか、よく考えることが大切です。

フリーレントを契約する時に注意すること

フリーレントはお得!という面にだけ着目してしまい、すべてゼロ円になると思ってしまいがちですが、以下の点に注意が必要です。

無料になるのは家賃だけ

フリーレントで無料になるのは家賃のみです。賃貸物件では、管理費、共益費などの名目での支払いがありますが、家賃以外の部分は支払わなくてはなりません。別の扱いになります。


フリーレントの間にいくらの支払いが生じるのか、契約時にきちんと確認しておきましょう。


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次回の更新日がいつになるのか忘れずに

通常の契約は2年更新が一般的です。その場合、契約してから2年後に契約更新日がやってきます。


フリーレント物件の契約をすると、家賃を払い始めたところから契約がスタートすると思ってしまう人もいますので、注意が必要です。契約更新はあくまでも契約日が基準となります。家賃を払い始めた日からではないので、次回の更新時期を忘れないようにしましょう。

気に入った物件をフリーレントにしてもらうことはできるのか

理想の物件が見つかったけれどフリーレントはついていない。そういった場合、フリーレントにしてもらうことはできるのでしょうか?結論から言いますと、交渉次第です。フリーレントにしなくても入居者がくる人気の物件では無理ですが、そうでなければ交渉の余地はあります。


狙い目は、不動産の閑散期です。3〜4月の引っ越しシーズンが落ち着き、6〜8月は人の動きが減る時期です。この時期にまだ空き室があるとなかなか埋まらないため、フリーレントにしても入居してほしいと思う大家さんもいます。


フリーレントにしてくれたらすぐにでも契約したいと不動産屋を通して交渉してみてください。

まとめ:フリーレント物件は引っ越しの初期費用が節約できる

フリーレントとは一定期間、家賃が無料になるサービスのことです。1〜2ヶ月無料になることが多いです。引っ越しの費用は総額で家賃の半年分ほどかかりますので、フリーレントを利用すれば初期費用を抑えることができます。二重家賃の問題もなくなります。


ただし、フリーレント物件は他の物件よりも家賃が高めに設定されていることもあります。周辺の同じような条件の物件とよく比較してみましょう。1〜2ヶ月家賃が無料になっても、トータルで支払う家賃が高くなるのなら、他の物件を探した方が良いです。


また、フリーレントは一定期間住むことが契約書で義務付けられていることが多く、無料になるのは家賃だけで管理費などの支払いは発生します。諸条件をよく確認してから契約するようにしましょう。



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