不動産コラム

SOHO(ソーホー)とは?向いている仕事・職種や事務所との違いを解説

2022/05/27

働き方改革が叫ばれる昨今、時間や場所にとらわれない「SOHO(ソーホー)」というワークスタイルが再注目されています。名前だけは聞いたことがあるという人も多いかもしれませんが、具体的な働き方については認知度が低いようです。

この記事では、そんなSOHOという働き方について、似ているワークスタイルとの違いや、メリット・デメリット、さらにはSOHO向きの職種、事務所との違いなどを解説していきます。ぜひ、SOHOという働き方が気になっている方は最後まで目を通してみてくださいね。

SOHO(ソーホー)とは?

SOHOとは、「Small Office/Home Office」の頭文字を取った略称です。パソコンなどの情報通信機器を使いながら、自宅や小さなオフィスで業務委託を行う働き方、またはその仕事場や物件のことを指します。

なお、現時点ではSOHOの正式な定義は存在していません。日本SOHO協会ではSOHOを「ITを活用して事業活動を行っている従業員10名以下程度の規模の事業者」としていますが、官公庁や各団体によってその定義はさまざまです。

小さなオフィスや住まいを仕事場として使い、働いている人、つまりSOHO利用者の数は近年増加傾向にあります。SOHO自体が知られるようになったのは、1990年代後半にWindowsのパソコンが普及したことがきっかけでした。2010年以降は、よりデバイスや通信環境が整備され、SOHOで働きやすい環境になっています。

時間や場所にとらわれずに働くことができる点から、働き方改革がすすむ昨今、SOHOは改めて注目されています。

ベンチャーやスタートアップ企業との違い

ここからは、SOHOと似ているワークスタイルの違いをご紹介します。まず、SOHOとベンチャー企業やスタートアップ企業との違いは「法人化しているかどうか」です。基本的にベンチャー企業やスタートアップ企業は法人を立ち上げますが、SOHOは必ずしもその必要がありません。

  • ベンチャー企業:斬新なアイデアや技術をもとに、大企業が始めにくい新しいサービス・ビジネスを展開する
  • スタートアップ企業:新しいビジネスモデルを開発する企業で、市場開拓の段階にある

在宅ワークやテレワークとの違い

在宅ワークは家にいながら働くことを指し、副業や内職の意味で使われることが多いです。テレワークは、情報通信技術(ICT)を活用し、時間や場所にとらわれない働き方を指します。そのため、SOHOはテレワークの一種ともいえます。

SOHOは仕事の内容自体よりも、小さなスペースで行うビジネス、という点が注目されています。

フリーランスとの違い

SOHOとフリーランスの違いは、「オフィスを設けているかどうか」です。フリーランスは働く場所を固定している場合は少なく、自宅やカフェ、ワーキングスペースなどで仕事をすることがあります。一方、SOHOはオフィスを構えるため、基本的に同じ場所で仕事をします。

SOHOで働くメリット

SOHOとして働くメリットはなんでしょうか?ここでは、以下の3つのメリットをご紹介します。

  • 場所に縛られずに働くことができる
  • 時間に制限がない
  • 仕事の量や内容を調整しやすい

場所に縛られずに働くことができる

毎朝、満員電車に乗って会社まで行くのが苦痛だという人も少なくないのではないでしょうか。SOHOは働く場所に縛られずに作業ができるため、通勤にかかるストレスから解放されます。

時間に制限がない

SOHOという働き方では、会社のように、「定時」という考えがありません。クライアントとの納期さえ守ることができれば、朝早くても、夜遅くても、働く時間を自分の好きなように決めることができます。

仕事の量や内容を調整しやすい

会社に所属して働く場合、いつどんな仕事をどれだけの量引き受けるかを自分で決めることは難しいのではないでしょうか。SOHOでは、仕事の内容や量をクライアントと相談しながら調整することができます。

私用で忙しくなると事前にわかっている場合などは、少し受注をセーブするという選択肢もあります。

SOHOで働くデメリット

会社に所属して働くこととは違った、魅力的なメリットがあるSOHOですが、デメリットもあります。ここでは、以下3つのデメリットについてご紹介します。

  • 収入が不安定になりやすい
  • メリハリがつかない
  • 庶務が多く発生する

収入が不安定になりやすい

会社員と違い、SOHOには常に決まった仕事があるとは限りません。定期の仕事がない限り、毎月の収入は安定しません。また、クライアントによって支払いのタイミングが異なることもあります。それをうまく調整しないと、毎月の収入に差が出てしまいます。

メリハリがつかない

メリットを紹介した箇所で、SOHOは時間にも場所にもとらわれずに働くことができると説明しました。しかし、これは裏を返せば「メリハリがつきにくい」ということです。慣れ親しんだ場所で作業をすれば集中力が続かなくなることもあるでしょう。また、気づいたら朝から晩までずっと働いていた、ということにもなりかねません。

SOHOにおいては、仕事とプライベートのメリハリをしっかり自分でつけながら働くことが大切です。

庶務が多く発生する

SOHOでは待っていても仕事はやってきません。自ら仕事を受注する必要があるため、自分で営業を行い、契約を取るのが基本です。また、請求書の発行や経理にかかる業務なども自身で行うため、本業以外の庶務が多く発生します。

SOHOに向いている仕事・職種は?

これまで、働き方やメリット・デメリットを紹介してきたSOHOですが、どのような職種が向いているのでしょうか。ここからは、SOHOで仕事をしやすい業界・職種について説明します。

エンジニア・プログラマー

仕様書や指示書に従ってパソコンで作業をするエンジニアやプログラマーは、SOHOで働くことに向いています。パソコンが利用できる環境が整っていれば、場所を選ばずに仕事ができます。

しかし、クライアントの重要な資料や個人情報を含むデータを扱うこともありますので、セキュリティ対策を万全に取る必要があります。

ライター・編集者

記事の執筆や編集作業を行うライターや編集者もSOHOに向いています。クライアントとの打ち合わせが生じる場合もありますが、最近ではオンラインミーティングやチャットツールで完結することも多いです。

デザイナー

クライアントの考えを理解し、それをデザインで表すデザイナーという職種も、SOHOに向いています。また、クリエイティブな仕事でもあるため、自分の力が最大限発揮できるよう、過ごしやすい空間を作りやすいのもSOHOの魅力です。

なお、ここでご紹介したとおり、SOHOに向いている職種は、パソコンがあれば成り立つ仕事です。一方、物販店や飲食店など、多くの人が出入りする必要のある仕事はSOHOとして働くことには向いていません。

SOHOと事務所の違いは?

ここからは、働く場所としてのSOHOに着目して解説していきます。SOHOと事務所の違いは、主に以下の2つです。

  • 賃貸契約の形態の違い
  • 認められる仕事(業種)の違い

賃貸契約の形態の違い

SOHOと事務所の最も大きな違いは、賃貸契約の形態の違いです。SOHO物件は「住宅契約」となるのに対し、事務所は「事務所契約」となります。「住宅契約」は「そこに住むことが前提となる契約」です。一方で、「事務所契約」は「寝泊りや24時間の利用は不可」となることが一般的です。

また、税金面でも「事務所契約」より「住宅契約」の方が割安になります。

しかし、住居用の契約では、表に看板を出すことや法人登記ができなかったり、郵便受けの表示も制限されたりすることがあります。

認められる仕事(業種)の違い

SOHO物件はあくまで住居用の物件であり、ほかの居住者に迷惑がかかるため、不特定多数の人が頻繁に出入りするような業種・職種の仕事は認められないことが多いです。飲食店や販売業、そのほか対人で接客をする業種などは認められません。

まとめ:メリット・デメリットを知った上で活用を

これまでご紹介してきたように、SOHOという働き方は大きな自由が手に入る反面、自分でメリハリをつけながら作業をする必要があります。自分の仕事や生活スタイルにあわせて、SOHOも含めた今後の働き方を考えてみるのはいかがでしょうか?

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