不動産コラム

共益費とは?管理費との違いや相場・使い道まで疑問を簡単に解説

2023/03/24

賃貸物件を選ぶときに、ほとんどの物件で目にする『共益費』。

「何に使われているかわからない」

「どのくらいが相場なの」

など、疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。今回は、共益費の意味や使い道、平均相場、支払い方法について簡単にわかりやすく解説します。


共益費込み(0円)物件の落とし穴や消費税の有無など、物件を選ぶときに知っておきたい情報も盛りだくさんなので、ぜひ最後まで読んでくださいね。

共益費って何?管理費との違いとは

まずは、賃貸物件における共益費の意味や用途(使い道)についてご紹介します。

賃貸物件の共益費とは

『共益費』とは、共用スペースの状態を保つための費用です。共有スペースとは、その物件に住む全ての人々が使う場所のことで、

  • エントランス
  • 廊下
  • 階段
  • エレベーター
  • 浄化槽
  • ゴミ置き場

などがあります。住民が自由に使える庭や会議スペースなども含まれます。つまり、あなたの部屋(専用スペース)以外のすべての場所と考えてください。


たとえば、夜にマンションに帰ってきたとき、エントランスや廊下には電気がつき、いつも明るい状態になっています。オートロックがついている物件は、不審者や勧誘者の立ち入りを防ぐことができます。エレベーターの調子が悪いと、すぐに業者が修理してくれます。


このように、共用スペースを良好な状態に保つための費用を『共益費』といい、その物件の住民が少しずつその費用を出し合っているのです。したがって、共用スペースの施設やサービスがたくさんある物件ほど、『共益費』は高くなります。

共益費の使い道

賃貸物件における共益費の使い道には、法的な取り決めがありません。何にいくら費用をかけるかは貸主が決めることができ、物件によっても異なります。


ある不動産会社が賃貸管理業者を対象におこなったアンケートによると、共益費の用途に多い項目は、共用スペースの

  • 電気料金(78%)
  • 照明の保守・交換料金(69%)
  • 水道料金(64%)
  • ゴミ置き場の清掃費用(57%)
  • その他の場所の清掃費用(56%

などでした。その他、物件によっては庭の手入れや砂場の管理・町内会費などが含まれるという意見もありました。


共益費は用途をはっきりさせる必要がないため、借主側から見ると「わかりにくい」「不要な項目がある」などの不満が出やすい費用です。何か気になることがあれば、不動産会社や貸主に聞いてみるとよいでしょう。

管理費との違いとは

物件によっては、共益費の代わりに『管理費』と記載されていることがあります。この2つには、実ははっきりとした違いはありません。


あえて区別するなら、管理費は物件を『管理する』ためのもので、管理人の人件費や共用スペースの固定資産税などが含まれます。共益費よりも少し広い意味を持つと考えましょう。


ただし、どちらも共用スペースに使われる費用で、使い道に法的な決まりがありません。そのため、同じように扱うことが多く『共益費=管理費』と考えればよいでしょう。


共益費と管理費の両方を支払うことはあまりなく、どちらかのみを支払います。(物件によって異なります。詳細は物件ごとに確認してください。)

共益費の相場と支払い方法

共益費は、不動産会社や貸主が自由に決めることができます。この章では、共益費の相場と支払い方法について解説します。

共益費の相場とは

賃貸物件における共益費の相場は家賃の5〜10%といわれています。共益費は一般的に『共用スペースにかかった費用』を『戸数(住戸面積を考慮)』で分担します。そのため、

  • 共用スペースが豪華
  • 管理人が24時間在中
  • 高層マンション(エレベーターあり)
  • 戸数が少ない
  • シェアハウス(共用スペースが多いため)

などの物件は、共益費が高くなります。


逆に、

  • 管理が行き届いていない
  • 人気がない

などの物件は、共益費が安くなります。

契約前の内覧時には、共用スペースの清掃具合や点検頻度をチェックし、共益費が物件に見合っているかをしっかりチェックしましょう。

共益費は毎月必要?支払い方法とは

共益費は家賃のように、同じ金額を毎月決まった日に支払います。入居時や更新時に支払う一時的な費用ではありませんので注意しましょう。


支払い方法は、家賃と一緒に口座引き落とし(または銀行振込)が一般的です。物件によっては、家賃と共益費の支払先が異なることもありますので、契約時に確認しておきましょう。


まれなケースですが、管理会社(貸主)が認めた場合は半年分などの前払いも可能です。必要な場合は事前に相談してみましょう。

共益費込み(=0円)物件はおトク?

賃貸物件を探していると『共益費0円』という物件を見かけます。一見おトクに見えますが、実はそうではありません。ここでは、『共益費0円物件』について解説します。

共益費は必要な費用

『共益費』は、共用スペースがあれば必ず発生する費用です。そのため、賃料に『共益費(管理費)』という項目がない物件は、その分家賃が高くなっていることが多いです。


たとえば、次の2つの物件の賃料をみてみましょう。

1.家賃6万4,000円+共益費なし

2.家賃6万円+共益費4,000円

①の物件では、共益費なし(= 0円)となっています。しかし、本当に共益費がかからないわけではありません。6万4,000円の家賃の中に共益費分がすでに含まれているのです。


物件を選ぶときは、『共益費なし=おトク』と簡単に考えるのではなく、『家賃+共益費の総額』で、物件条件を比較することが大切です。

共益費込みと別途はどちらがおトク?

画像:4

『家賃+共益費の総額』が同じ場合、共益費込みと別途の物件ではどちらがおトクといえるのでしょうか。結論は、②のように家賃と共益費を別に記載している物件の方がおトクといえます。


家賃が安い方が、契約時の初期費用や更新費用をおさえられるためです。初期費用(敷金・礼金・仲介手数料など)と更新費用は、『家賃の〇ヶ月分』などと家賃を基準にして決まります。そのため、家賃が安いほど、これらの費用が安くすみます。


貸主側にとっても、②の方が家賃を安く見せられるというメリットがあります。物件検索サイトでも家賃が安い物件としてヒットするため、入居者が決まりやすくなります。


このように、一見おトクに感じる『共益費0円物件』ですが、実は共益費と家賃が別に記載されている物件の方がメリットが多く、おトクな場合がありますので覚えておきましょう。

共益費でよくある3つの質問

共益費に関するよくある3つの質問にお答えします。

共益費に消費税はかかる?

共益費(管理費)は非課税なので、消費税はかかりません。ただし、居住目的ではなく、事務所として物件を借りる場合は課税対象となります。

同じ建物なら共益費は同じ?

同じ建物内でも、部屋によって共益費がちがうことがあります。部屋ごとに

1.専用スペースの床面積

2.契約内容

がちがうためです。


共益費は、専用スペースの床面積を基準として金額を設定していることがあります(1㎡100円など)。この場合、広い部屋を借りるほど共益費は高くなります。角部屋など好条件の部屋も高くなることがあります。


また、賃貸契約は部屋ごとに結ばれます。そのため、家賃や共益費が部屋によってちがうのはよくあるケースです。

  • 空き部屋が増えた
  • 値下げ交渉をした
  • 入居者が貸主の知り合い

など、契約のタイミングや状況によって、貸主が家賃や共益費を変動させるためです。

共益費の支払いは拒否できる?

契約書に記載された共益費に同意している場合は、支払いを拒否することはできません。共益費を滞納すると、賃貸借契約を解除されたり、遅延損害金が発生したりするため注意しましょう。


共用スペースの清掃や管理に不満がある場合は、共益費の支払いをやめるのではなく、値下げ相談や改善を申し出ましょう。

まとめ

賃貸物件の共益費は、物件の共用スペースの状態を保つために必要な費用です。家賃の5〜10%が平均相場で、家賃とともに毎月支払います。


共益費は、管理費と記載されたり、家賃に含まれていたりします。物件を探すときは、共益費0円などの文句につられることなく、『家賃+共益費の総額』で条件を比較するようにしましょう。

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