不動産コラム

賃貸の入居日は交渉できる?延期するコツや二重家賃を抑える方法を解説

2023/10/17

新しい賃貸物件に引っ越すとき、気をつけたいのが『入居日』です。理想の部屋を見つけても、入居日が希望に合わないと、ムダな家賃を支払ったり、引っ越しても入居できなかったり……と思わぬトラブルにあうことも。


そこで今回は、入居日の意味や決まり方、入居日を延期する交渉のコツや、二重家賃を抑える方法などについて詳しくご紹介します。

賃貸の入居日はどう決まるのか

「入居日って自分で決められるの?」

「申し込みから何日くらいかかる?」


などの疑問がある方のために、入居日の定義と決まり方についてご紹介します。

賃貸の入居日とは

賃貸物件の『入居日』とは、『入居が可能になる日』です。『家賃発生日』もしくは『契約開始日』ともいいます。


引っ越して『実際に住み始める日』を指すこともありますが、貸主側(大家さんや不動産会社)は『家賃発生日』の意味で使うのが一般的です。


借主・貸主間で認識が違うとトラブルの原因になりますので、どちらの意味で使っているのかをしっかりと確認しましょう。

入居日はいつ決まる?平均的な日数とは

賃貸物件の入居日は、入居審査に通過したあとに決まります。契約申し込みから入居までの流れをまとめると次のとおりです。


1.契約申し込み

2.入居審査

3.入居日の決定

4.初期費用支払い

5.契約手続き

6.契約開始(入居日)

7.引っ越し


入居準備がすでにできている『即入居可物件』の場合、契約申し込みから入居日までの平均的な日数は約2週間です。


人がまだ住んでいる(退去予定)物件では、退去後から入居日までに3週間ほどかかる場合があります。退去後にハウスクリーニングやリフォームをするためです。建設中の物件は、さらに日数がかかるケースもあります。物件ごとに異なるため、不動産会社に確認しましょう。

賃貸の入居日は指定される場合が多い

入居審査に通過すると、不動産会社側から「〇月〇日~〇日の間に入居日を設定してください」と連絡があります。物件によっては、入居日を指定されることもあります。


自分の好きな日にちに設定できるとは限りませんので、申し込み前にだいたいのスケジュールを確認しておきましょう。

賃貸の入居日は交渉できる?

「理想の部屋を見つけたけど、入居日が合わない」

「急な用事ができて入居日を変更したい」


という場合、入居日の交渉はできるのでしょうか。


結論から言うと、契約前であれば交渉は可能です。入居日を遅らせたり、早めたりする際に知っておきたいポイントや契約後の入居日変更についてご紹介します。

賃貸の入居日は遅らせられる?

入居日を遅らせたければ、契約前に不動産会社を通して大家さん(貸主)と交渉しましょう。ただし、実際に遅らせられるかどうかは、大家さん次第です。家賃発生日が遅れれば、その分大家さんの収入が減るためです。貸主が法人であれば、会社規定で決められているケースもあります。


入居を遅らせられたとしても、最大1ヶ月程度が限界です(申し込み日から入居日まで)。1ヶ月以上先の入居を希望するなら、もう少しあとに申し込むか、空家賃を支払うしかありません。


■ 空家賃とは

実際に入居するまえに契約をスタートし、入居まで払い続ける家賃のこと。

賃貸の入居日は早められる?

『即入居可物件』で入居日を早めたい場合は、手続きにかかる日数が問題になります。入居審査をするのに3日〜1週間程度かかり、そのあと契約手続きや初期費用の支払いが必要です。手続きを急げば、通常より数日ほど早められるかもしれませんが、申し込みをしてすぐに入居できるわけではありません。


『退去予定物件』の場合は、ハウスクリーニング・リフォームなどの作業が終わらないと入居できません。

契約後の入居日交渉は不可

入居日を早めるにせよ遅らせるにせよ、契約後の入居日変更は原則できません。賃貸借契約書に入居日が定められているためです。入居日の交渉は、必ず契約前におこないましょう。


契約後に急な予定が入った場合、引っ越しを延期するのは入居者の自由です。入居日に実際に入居する義務はありません。ただし、入居日から発生する家賃は支払う義務があります。

賃貸の入居日を延期する交渉術5選

お気に入りの物件を見つけても、実際に引っ越すのはもう少し先のため「入居日を遅らせたい!」というケースは多いはずです。ここでは、入居日を延期する交渉のコツを4つご紹介します。

1.不動産会社に早めに希望を伝える

2.具体的な理由・入居日を伝える

3.交渉しやすい物件を選ぶ

4.仮押さえする

1.不動産会社に早めに希望を伝える

入居日の希望は、不動産会社の担当者にできるだけ早く伝えましょう。担当者は自分の営業成績のためにも、頑張って大家さん(貸主)と交渉してくれます。逆に話が進んでから条件を提示すると、印象が悪く交渉してもらいにくくなります。


これからお部屋を探す方には、新築物件やリフォーム物件など、入居日が先の物件を紹介してくれるでしょう。

2.具体的な理由・入居日を伝える

入居日を遅らせたいときは、その理由や希望日をはっきりと伝えましょう。


  • 就職・入学で一人暮らしを始める
  • 退去先の物件で二重家賃が発生する

などの理由を明確に伝えたほうが、交渉が成功しやすくなるためです。


ただし、入居日を数ヶ月延長するなどの無理な要求は通りませんので注意しましょう。

3.交渉しやすい物件を選ぶ

入居日を交渉しやすい物件を選ぶのも交渉術の1つです。交渉しやすい物件とは、


  • 日当たりが悪い
  • 駅から遠い
  • 建物や設備が古い

などの理由で人気がなく、空室が多い物件です。また、引っ越し閑散期(1・6・11月)も次の希望者が見つかりにくいため交渉しやすいといえます。

4.仮押さえする

仮押さえとは、物件の申し込み段階で『仮押さえ金』を支払い、他の人に物件を取られないようにする方法です。仮押さえの段階では入居日を決める必要がないため、仮押さえ期間(約2週間ほど)分は入居日を遅らせられます。


ただし、人気物件など仮押さえできない物件もあります。仮押さえ金の相場は1万円程度で、あとで返却されます。

二重家賃を抑える4つの方法

賃貸の入居日を遅らせたい理由のほとんどが、この二重家賃です。ここでは、そもそも入居日の交渉をしなくてよいように、二重家賃を抑えるためのコツを4つご紹介します。

1.解約連絡の期限を守る

2.退去日と入居日を近づける

3.『即入居可物件』を避ける

4.フリーレント物件を選ぶ


■ 二重家賃とは

退去する部屋と新居の両方で、同時に家賃が発生すること。

退去日より前に入居日を設定することで発生し、退去(入居)月の家賃を日割りにできなかったり、重複期間が長かったりするほど負担が増加する

1.解約連絡の期限を守る

二重家賃を抑えるには、退去手続きを計画的に進めることが大切です。物件を退去するときには解約連絡が必要で、期限・方法は賃貸借契約書に明記されています。期限は『退去日の1ヶ月前まで』が多いですが、物件により異なりますので必ず確認しましょう。


期限までに解約連絡をしないと退去が遅れ、その分二重家賃の負担が増えます。

2.退去日と入居日を近づける

退去日の次の日を入居日にすれば、重複期間がないため二重家賃が発生しません。


引っ越しが1日で終わる場合は、退去日の当日や前日を入居日にするとよいでしょう。入居月や退去月の家賃を日割りにしてくれる物件であれば、二重家賃は数日分となり負担も軽くすみます。


ただし、あまり余裕のないスケジュールにすると、


  • 入居審査で落ちた
  • 引っ越しの予定が合わない

などの理由で入居日が遅れたときに、住む場所がなくなるため要注意です。

3.『即入居可物件』を避ける

入居希望が1ヶ月以上先の場合は、『即入居可物件』を選ばないようにしましょう。


  • 退去予定物件
  • リフォーム中の物件
  • 建設中の物件

では、入居までに3週間~1ヶ月以上かかる物件がたくさんあります。これらの物件を選べば、入居日と退去日のタイミングを合わせやすくなります。


『先行申し込み』や『先行契約』ができる物件もありますので探してみましょう。ただし、建設中の物件では内見ができないデメリットがあります。

4.フリーレント物件を選ぶ

フリーレント物件では、一定期間の家賃負担が無料になります。無料期間中に退去日を設定すれば、二重家賃の心配はいりません。ただし、最低契約期間などの条件がある場合が多いため、しっかりと確認しましょう。

賃貸の入居でよくあるQ&A

賃貸物件の入居において、よくある質問にお答えします。

入居日前に荷物だけ入れてもよいか

入居日前に、新居に荷物を入れてはいけません。入居日=契約開始日のため、入居日前に部屋を使う権利がないためです。入居日前日に鍵の受け渡しがあっても、部屋を使う(入る)のは入居日以降にしましょう。


家財保険の適用も、入居日から開始されます。入居日前に火災などのトラブルが発生した場合は保険対象外となるため、トラブル回避の観点からも荷物を置くのはやめましょう。

入居日の0時を過ぎれば入居可能か

入居日の0時を過ぎれば契約開始されますので、入居できます。ただし、近所迷惑にならないように騒音には注意が必要です。

入居日を延期されたときの対処法は

賃貸借契約の締結後に、貸主側の都合で入居日を延期された場合は、貸主側の契約違反となります。


入居が延期になって発生した


  • 仮住まい費用
  • 交通費
  • 引っ越しのキャンセル料金

などは領収書を受け取って保管し、不動産会社をまじえて対応・補償の協議をしましょう。


契約前の場合は、補償されない場合もあります。詳しくは弁護士に相談してみましょう。

まとめ

賃貸物件の入居日とは、契約開始日(家賃発生日)のことです。入居日は契約申し込みから2週間前後に設定され、希望に合わないときは契約前に交渉する必要があります。


入居日を延期したいときは、不動産会社に早めに相談するのが大切です。そのとき、具体的な理由や希望日を提示したり、空き部屋が多い物件を選んだりすると、交渉が有利になります。


入居日の交渉をしたくない方は、二重家賃が発生しないような退去日・入居日を設定しましょう。入居日が1ヶ月以上先の方は、退去予定物件や建設中の物件がおすすめです。


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