不動産コラム

賃貸借契約で保証人がいない!保証人なしで借りる方法と注意点

2023/07/14

賃貸物件を契約しようと思ったとき、ほとんどの物件で必要になる『保証人』。保証人にはさまざまな条件や責任があり、「なかなか見つからない」という方も多いですよね。実際にいま、保証人探しでお困りの方もいるはずです。

そこでこの記事では、

・保証人に必要な条件とは?

・保証人なしで部屋を借りる方法とは?

などの疑問を解決していきます。

保証人なしで部屋を借りる方法では、8割以上の方が利用している一般的な方法から、高齢者・生活保護者などにおすすめの方法まで解説していますので、ぜひ参考にしてください。

賃貸借契約時の保証人とは

お部屋を借りるとき、ほとんどの賃貸物件では契約時に保証人が必要になります。まずは、保証人が必要な理由や責任・条件についてご説明します。

賃貸借契約で保証人が必要な理由

賃貸借契約において保証人は、貸主(大家さん)のリスクをなくすための担保です。


たとえば、何らかの理由で借主(入居者)が家賃を滞納したら、貸主は家賃収入を得られなくなります。このとき、保証人が代わりに家賃を支払う約束があれば、貸主は安心して部屋を貸すことができます。


このような理由から、賃貸借契約時にはほとんどの物件で保証人が必要になります。

保証人の責任

借主が家賃を滞納したとき、保証人にはその家賃を代わりに支払う義務が発生します。家賃滞納以外にも、

・物を壊したときの修繕費用

・退去時の原状回復費用

・トラブルへの対処

など、借主が貸主に対して負う債務全般において、支払い(対処)義務が発生します。


一般的に保証人には、保証人と連帯保証人の2種類があります。保証人には抗弁権(まずは借主本人に請求するよう貸主に求める権利)が認められますが、連帯保証人にはこの権利がありません。


賃貸借契約における保証人は、ほとんどの場合が連帯保証人です。そのため、借主同様の責任が発生すると考えましょう。

保証人の条件

保証人は、誰でもいいわけではありません。物件や借主の信用度などにより異なりますが、一般的には次のような条件があります。

・契約者の親族(2等親以内など)

・年齢制限(高齢でない)

・安定した収入(または資産)がある

・近く(国内・隣県など)に住んでいる

・実印や必要書類を用意できる

・反社会的団体に関わっていない など

※必要書類とは・・・連帯保証人承諾書、印鑑証明書、住民票、収入証明書(源泉徴収票、納税証明書)など。

※詳細条件は物件により異なります。契約書などで確認してください。


連帯保証人は責任が重いため、友人・知人ではなく近しい親族に限定されている場合が一般的です。(ただし、同一世帯の親族は不可)支払い能力や信用度も必要なため、月収や資産、住んでいる場所なども確認されます。高齢の場合は、認知症などのリスクから保証人になれないこともあります。


連帯保証人の人数は一般的には1名ですが、借主の家族構成や年齢などにより2名必要という場合もあります。


このような条件から、

・親が高齢で無職(年金収入のみ)

・兄弟姉妹がいない

・頼める親戚がいない

・親族は外国に住んでいる

など、さまざまなケースで保証人が見つからないという人が増えています。

保証人なしで賃貸物件を借りる方法

「保証人を頼める人がいない!」と困っている方のために、保証人なしで賃貸物件を借りる方法を4つご紹介します。それぞれの特徴や注意点も解説していますので参考にしてください。

・家賃債務保証会社を利用する

・保証人代行サービスを利用する

・保証人不要の物件を探す

・クレジットカード払い可能な物件を探す

1.家賃債務保証会社を利用する

保証人なしで部屋を借りる最もおすすめの方法は、家賃債務保証会社を利用することです。家賃債務保証会社とは、家賃滞納が発生した際に一時的に家賃を立て替えてくれる会社のことです。その後、家賃債務保証会社が借主(入居者)に家賃を請求します。


家賃債務保証会社が貸主(大家さん)側の家賃収入を保証してくれるため、借主(入居者)は保証人なしで部屋を借りることができます。


昨今の高齢化・親戚関係の希薄化・外国人の増加などにともない、家賃債務保証会社の利用者は年々増加しています。2020年度には賃貸借契約における家賃債務保証会社の利用率が全体の約8割に上りました。

参考記事:家賃保証業者、管理会社の利用が8割に―国交省調査、ニーズ高まるも認知度課題 | 不動産経済オンライン | 不動産ニュース&コラム 新築マンション、中古マンション、賃貸マンション、不動産投資、ホテル、商業施設 (fk-online.jp)


ただし、借主(入居者)が家賃債務保証会社を利用するときには次のような注意点があります。

・審査が必要

・保証委託料がかかる

・会社を指定される

・トラブルにあう可能性がある

利用の際には、借主の支払い能力を調査する審査があり、収入や雇用形態が不安定な方は審査に通らない可能性があります。初年度は家賃の0.5〜1ヶ月分の保証委託料が発生するため、入居時の初期費用が高くなります。その後、1年ごとに1〜2万円の更新料が必要です。


家賃債務保証会社は貸主(大家さん)や管理会社から指定される場合が多く、借主側が会社を選ぶことはほぼできません。なかには、取り立ての際に「乱暴な言動があった」などのトラブル事例もあります。


家賃債務保証会社は、『保証人必須』という物件以外、ほとんどの物件で利用できます。ただし、金銭以外のトラブルには非対応のため、物件によっては『連帯保証人+家賃債務保証会社』の利用が必要な場合もありますので注意が必要です。

2.保証人代行サービスを利用する

保証人代行サービスとは、保証人の役割を代行してくれたり、保証人の斡旋をしたりするサービスです。家賃債務保証会社とよく似た仕組みですが、賃貸借契約をスムーズに進められるように、不動産会社や管理会社が提供しているサービスであることが多いです。


不動産会社や管理会社が運営するサービスの場合、

・審査に通る可能性が高い

・利用できる物件数は少ない

などの特徴があります。


審査に通りやすいことから、家賃債務保証会社で審査落ちした方(外国人・高齢者・無職の方など)も利用できることがありますので不動産会社に相談してみましょう。


ただし、なかには個人の連帯保証人の斡旋のみをおこなうサービスもあります。悪質な会社を選ぶと、保証人として認められなかったり、詐欺にあったりする危険性があります。悪質な会社を利用しないよう十分な注意が必要です。

3.保証人不要の物件を探す

物件によっては、保証人なしで借りられる物件があります。その代表的な物件がUR賃貸住宅です。UR賃貸住宅は、一定の収入(または貯蓄・資産)があれば、

・保証人なし

・礼金なし

・仲介手数料なし

・更新料なし

で借りることができます。


そのため、収入は十分にあるが保証人が見つからない方におすすめの物件です。


その他の物件では、『保証人不要』と記載されていても、結局『保証会社の利用が必須』というケースが多いです。なかには、保証人も保証会社もなしで借りられる物件が少数ありますが、

・建物が古い

・事故物件

・部屋を借りられる期間が短い

など、何らかの問題がある場合が多いため、注意が必要です。

4.クレジットカード払い可能な物件を探す

クレジットカード払いが可能な物件の中には、保証人なしで借りられる物件があります。クレジットカードの利用には金融機関の審査が必要なため、利用できる時点で信用が得られるためです。


クレカ支払い可能物件には、ほかにも

・振込の手間が省ける

・手数料が不要

・ポイントがたまる

などのメリットがあります。


ただし、このような物件はなかなか見つかりません。クレカ支払い可能物件は増加傾向にあるものの、現金や銀行引き落としでの支払いが主流です。そのうえ、『保証人なし』という物件を見つけることは、なかなか難しいでしょう。

生活保護者・高齢者におすすめの方法

生活保護者や高齢者など、特に保証人が見つけにくい方におすすめの方法をご紹介します。

生活保護者は代理納付を利用

生活保護者の場合、住宅扶助制度を利用して家賃補助を受けられます。さらに自治体によっては、家賃を公的機関から貸主(大家さん)や不動産会社に直接振り込む代理納付制度があります。


これらの制度を利用することで貸主からの信頼度が高まり、保証人なしでもお部屋を借りられる場合があります。自治体により仕組みが異なるため、まずは担当のケースワーカーさんに相談しましょう。


高齢者は身元保証サービスを利用

身元保証サービスとは、主に一人暮らしで身寄りのない高齢者を対象としたサービスです。賃貸物件を借りるとき以外にも、病院や施設に入るときの保証人にも対応しています。


サービス内容や料金は、団体ごとに異なり、

・緊急時の対応

・日常生活の支援

・遺体の引き取り

・葬祭支援

まで、トータルサポートしてくれるプランもあります。その分費用は高くなりますが、頼る人がいない高齢者には便利なサービスといえます。

まとめ

賃貸物件を契約するときには、ほとんどの物件で『保証人』が必要です。しかし、保証人には条件があることから、保証人が見つからないケースが増加しています。


保証人なしで部屋を借りるには、

・家賃債務保証会社を利用する

・保証人代行サービスを利用する

・保証人不要の物件を探す

・クレジットカード払い可能な物件を探す

などの方法がありますが、一番利用者が多く安心なのが家賃保証会社を利用する方法です。


その他、生活保護者や高齢者のためのサービスや制度もありますので、困ったときは不動産屋さんに相談してみましょう。

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