賃貸の部屋にエアコンがついていなかった場合や、1つ付いているけれど別の部屋につけたいなど、新たに設置したいというとき、黙って付けてはいけません。必ず大家さんの許可を得てからにしましょう。
なぜなら、どの部屋も大家さんの所有物だからです。他人の所有物に、勝手に傷をつけることは許されません。エアコンを取り付けるにあたっては、エアコンを備え付けるための穴を開けたり、場合によっては室外機と室内機を繋ぐための配管用の穴を開けなければならなかったりすることもあります。
そのような工事を行うのに、家主の許可なくできるはずがありません。必ず大家さん、または管理会社に聞いてからエアコンの設置を検討してください。
なお、もともと壁に穴が空いていてコンセントもついている場合は、契約する前に重要事項説明書を確認しましょう。
穴が空いているということはそこにエアコンが設置可能ということなので、工事は発生しませんし、退去時の原状回復も必要ありません。
ただ、「穴があるからエアコンOK」と思い込んで取り付けてしまい、後でトラブルが起きても困りますので、念のため大家さんと管理会社に連絡をしてから取り付けることをおすすめします。
エアコン設置で気をつけること
そもそもエアコンを設置できるのかどうか、確認をしましょう。エアコンは、壁ならどこにでも設置できるわけではないのです。
エアコンは、室外機と室内機をつなぐための配管を通すスリーブと呼ばれる穴が近くにある壁でなければ設置することができません。まず、穴が空いていることが大前提となります。
他にも、
・近くにエアコン用のコンセントがあるか
・屋外に室外機を置けるスペースがあるか
なども確認してください。
もし穴がない場合、大家さんの許可を得れば開けることは可能ですが、壁の構造も確認が必要です。穴を開けたりエアコンを設置したりできる壁なのか、工事が難しい場合は諦めなくてはなりません。
勝手にエアコンを購入してから「工事ができない」となっても困りますので、エアコンの設置の許可とともに、設置自体が可能なのかを最初に確認しておきましょう。
これは、内見のときに確認しておくべきことです。賃貸物件の場合、最初からエアコンがついていたとしてもせいぜい1部屋です。2部屋以上ある物件を借りるなら、エアコンのない部屋にエアコンの取り付けが可能なのか、建物の構造を含めて確認しておきます。
エアコン取り付けの費用
エアコンの設置が認められた場合、自前で用意しなくてはならないのか、費用の負担が気になるところです。
基本的には入居者負担だが相談の余地あり
もともとなかったものを設置するので、原則として借主負担となります。ただし、100%そうなるかどうかはわかりません。中には、費用の一部または全部を負担してくれる大家さんがいる場合もあります。
今工事をしておけば次の入居者も利用できるわけですから、その点を理解してくれれば工事費を負担してくれる可能性は大いにあります。話してみないとわかりませんので、工事費の見積もりをとってから費用の相談をしてみましょう。
修繕費用も確認しておく
入居者には原状回復がありますので、基本的には、エアコン用の穴を開けた部分を元に戻さなくてはなりません。修繕費用はもちろん敷金から引かれます。念のため、修繕費用がどのくらいになるのか、工事の前に確認しておいた方が良いでしょう。
ただし、これも交渉次第では工事が不要になるケースもあります。次の入居者のために利用することを大家さんがOKした場合です。費用がかからない方がありがたいので、相談してみることをおすすめします。
賃貸でエアコンの取り付けができない時の対処法
壁に穴を開けられない、室外機の設置ができないなどの理由でエアコンが設置できない場合はどうすればよいのでしょうか?エアコンの取付ができないからといって、暑さや寒さを我慢して生活するのは難しいと思います。
せっかく気に入った部屋が見つかったのにエアコンのせいで諦めるのは…と悩んだら、窓用エアコンが設置できるか、確認してみましょう。
窓用エアコンとはその名の通り、窓に取り付けるタイプのエアコンです。壁掛けタイプとは違い、壁に穴を開ける必要はありません。工事も不要で自分で取付ができます。室外機と室内機が一体になっていることから、室外機を置くことができないという理由でエアコンの取付ができない部屋でも使うことができます。
・窓が閉められなくなる
・若干音が大きい
・壁掛けタイプよりは電気代が高め
などのデメリットがあるものの、エアコンなしで過ごすよりはよいでしょう。窓が閉まらなくなる問題は、簡易錠を利用すれば解決できます。
入居時にエアコンOKといわれたのに取り付けられない場合は?
入居する時にエアコンの取付ができるかどうか確認し、不動産屋はOKだといったのに実際には取付ができなかった、というトラブルがあります。たとえば、
・壁にはエアコン用の穴やコンセントがあり、エアコンの取付もできると確認したのに、室外機を置ける場所が共用の廊下しかない部屋だった
・工事OKといわれていたのに、穴を開けられない壁だった
などの事例です。共用廊下は消防法の関係で、室外機を置くことはできません。
このような場合は、まず重要事項説明書を確認します。エアコンなどの設備に関しては、契約書ではなく重要事項説明書に書かれているはずです。口頭で「エアコンの取付ができる」と言われたとしても、重要事項説明書に設備としてエアコンが書かれていなければ、「エアコンなしの部屋」ということになるのです。たとえポータルサイトにあった物件情報に「エアコン」とあっても、重要事項説明書の設備にエアコンが含まれていなければ、エアコンなしでも問題ありません。
口頭で確認してエアコンの取付ができると思って入居したのに、取付できないなら契約違反だ!と言っても、重要事項説明書がすべてです。そこにサインしているなら、設備としてのエアコンがついていない部屋でよいと確認してサインした、ということになります。
ですから、口頭の確認だけでは危険で、重要事項説明書にどのように書かれているかがとても重要です。