不動産コラム

賃貸解約・退去手続きの流れは?通知書や違約金・タイミングも解説

2023/07/07

賃貸物件を解約・退去するときには、物件の解約手続きをはじめ、さまざまな準備や手続きが必要です。そのため、

「いつまでにどうやって解約するの?」

「退去までにやることは?」

「解約通知書の書き方は?」

など、たくさんの疑問や不安をかかえる方が多いのではないでしょうか。


そこで今回は、賃貸解約通知の期限・方法や退去までの流れ、解約で注意すべき費用について詳しくご紹介します。解約違約金や損をしない解約のタイミングなどよくある質問にもお答えしますので、ぜひ参考にしてください。

賃貸の解約連絡はいつどのように

引っ越しが決まって賃貸物件を解約・退去したいと思ったとき、いつまでに・どこに・どのように解約連絡をすればよいのでしょうか。賃貸物件の解約方法・期限についてご紹介します。

賃貸借契約書を確認する

賃貸物件の解約連絡(意志表明)を『いつまでに』『どのように』すべきかは、賃貸借契約書に明記されています。


記載例:乙は、甲に対して少なくとも30日前に書面にて解約申入れをおこなうことにより、本契約を解約することができる。


『1ヶ月(30日)前まで』に『書面で』と決められている場合が多いですが、物件ごとに異なります。引っ越しが決まったら、すぐに賃貸借契約書で解約通知期限や方法を確認しましょう。

電話で解約意志を伝える

解約ルールを確認したら、まずは電話で物件管理者(貸主・不動産会社)に解約意志を伝えます。書面での通知が必要な場合は、電話連絡後に『解約通知書(退去届)』を作成し、期限までに指定された方法で提出します。


解約連絡をする際には退去時期を伝える必要がありますので、新居の入居日や引っ越し日の候補を見つけておくとよいでしょう。

賃貸物件の解約・退去手続きの流れ

賃貸物件を解約し、退去するまでの流れについてご紹介します。物件の解約手続きのほかに、行政や引っ越しにともなう手続きも手順にそってご紹介していますので参考にしてください。

・解約通知書を提出する

・退去準備を進める

・引っ越し

・退去立ち会い

・敷金精算

1.解約通知書を提出する

一般的には、物件管理者が用意した解約通知書に必要事項を記入し、通知期限までに郵送します。解約通知書が手元にない場合は、送ってもらいましょう。


解約通知書の書き方が決まっていない(フォーマットがない)場合は、インターネット上にテンプレートが多数ありますので、参考にしましょう。解約通知書には、次のような内容を記載します。

・賃貸物件情報(住所・物件名)

・契約者情報(名前・連絡先)

・提出日

・解約日

・解約理由

・敷金返還口座 など

2.退去準備を進める

物件の解約(退去)手続きが終わったら、退去準備を進めます。

・立ち会い日決定

・引っ越し準備

・ライフラインの解約(転居)手続き

・住民票の転出(転居)届け

・郵便物の転送届け

・火災保険の解約手続き

引っ越し日が決まったら、管理会社と退去立ち会い日を決めます。荷造り・掃除などの引っ越し作業を進め、ライフライン(電気・ガス・水道など)の解約手続きも済ませましょう。電話・新聞・自動車(駐車場)などを利用している場合は、それらの手続きも必要です。


役所では、住民票、マイナンバーカード、国民健康保険(加入者のみ)などの変更手続きが必要です。郵便局に転送届を出せば、旧住所宛ての郵便物を1年間無料で新住所に転送してもらえます。


忘れがちなのが、火災保険の解約手続きです。契約期間が残っている場合は、保険料が月割りで返還されますので、忘れずに手続きをしましょう。(解約返戻金)


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3.引っ越し

引っ越し日の前日までにご近所への挨拶をすませ、当日は余裕を持って作業できるようにしましょう。退去立ち会いまでに、すべての荷物を運び出す必要があります。


掃除も終わらせ、ガスの元栓を閉めてブレーカーも落としておきましょう。

4.退去立ち会い

退去立ち会いとは、部屋の状態(傷・汚れ・不具合など)を借主・貸主の両者で確認し、修繕内容と費用の負担割合などを決める作業です。退去立ち会いは通常30分程度で終了し、そのあと鍵を返却します。


退去立ち会いの流れや準備するものは、こちらの記事を参考にしてください。


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5.敷金精算

退去立ち会いの結果をもとに、退去後1ヶ月以内に敷金が精算されます。退去費用が敷金を下回れば、差額が返還されます。

賃貸解約で注意すべき3つの費用

賃貸物件を解約・退去する際に、注意すべき3つの費用についてご紹介します。知らないとムダな出費が増えてしまいますので、ぜひチェックしてください。

・退去費用

・二重家賃

・解約違約金

1.退去費用

賃貸物件の退去費用とは、借主が借りた部屋を『原状回復』させるための費用です。賃貸契約書の特約事項に修繕費やハウスクリーニング費が記載されている場合は、それらの費用も含まれます。


借主が原状回復すべきものは『故意や過失・注意不足で起こった汚れやキズ』で、次のようなものがあります。

・引っ越し作業でできたキズ

・不適切な手入れ・用法違反による設備の故障

・タバコの臭い・ヤニのよる汚れ却

・ペットによるキズ・臭い

・窓の閉め忘れによる床・窓枠の劣化 など

普通に住んで起こる通常損耗や経年変化には、原状回復義務はありませんので覚えておきましょう。


原状回復(敷金)トラブルは、賃貸物件のトラブルランキングで上位にランクインします。不当な退去費用の請求を防ぐには、次のような知識をつけることが大切です。

・原状回復義務の範囲

・賃貸借契約書の内容

・修繕単位や減価償却

2.二重家賃

二重家賃とは、退去物件と新居物件の両方で同時に家賃が発生することです。二重家賃は、次の場合に発生します。

・解約通知の期限を過ぎた

・退去月の賃料が『月割り』計算された

・退去日より先に入居(契約)した

たとえば、あなたが3月15日に退去(引っ越し)予定だとしましょう。解約通知の期限が『1ヶ月前まで』の物件ならば、2月15日までに解約手続きが必要です。しかし、通知を忘れて期限を過ぎた3月10日に解約手続きをしたとします。この場合、4月10日まで解約はできず、3週間以上も二重家賃が発生することになります。


また、家賃発生日が毎月1日で、退去月の家賃計算が『月割り』の場合、3月15日に退去しても3月分(1ヶ月分)の家賃が発生します。(退去月の家賃が『日割り』の場合は、15日分の家賃を支払います。)


新居の家賃も同じく『月割り』の場合は、最大1ヶ月分の二重家賃が発生します。退去月・入居月の賃料計算は、賃貸借契約書の『賃料(家賃)』に記載がありますので確認しましょう。


退去物件・新居物件がともに『日割り』の場合でも、退去日より前に入居(契約)する場合は、その日にち分の二重家賃が発生します。


二重家賃を防止するには、月末に退去し、翌月1日から新居の家賃が発生する契約が理想的です。貸主(不動産会社)と交渉することで、二重家賃を少なくできる場合もありますので、相談してみましょう。

3.解約違約金

賃貸物件に入居後、短期間で解約すると違約金が発生する場合があります。賃貸借契約書に、『入居後〇〇以内に途中解約する場合、短期解約違約金を支払う』などの特約事項がある場合は、支払い義務が発生します。


賃貸借契約書や重要事項説明書に違約金に関する記載がない場合は、違約金の心配はありません。2年契約の途中解約であっても、解約通知期限を守れば違約金がかかることはほぼありません。


ただし定期借家契約の物件では、原則途中解約ができませんので注意しましょう。


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賃貸解約でよくある質問5選

賃貸物件の解約において、よくある5つの質問にお答えします。

・解約違約金はいくら?相場とは

・損をしない解約のタイミングとは

・解約キャンセル・延長は可能か

・賃貸解約は本人以外でも可能か

・下水が臭いなどの理由で解約できるか

1.解約違約金はいくら?相場とは

違約金の相場は、家賃の1ヶ月分です。ただし、物件や入居期間によって異なります。


入居時の費用負担が少ない物件(敷金礼金なし・フリーレント物件など)では、違約金が高めに設定されていることがあります。また、入居期間が短いほど違約金が高くなるケースもあります。


違約金が高すぎる・理由が不明確などの場合は、弁護士に相談しましょう。

2.損をしない解約のタイミングとは

損をしない解約のタイミングを知るには、賃貸借契約書で次の3つをチェックします。

・解約通知期限

・家賃発生日

・退去月の家賃計算方法

まずは、解約通知期限に間に合うように解約(退去)日を設定します。退去月の家賃計算が『月割り』の場合は、設定した退去日以降で家賃発生日の直前が最も損をしない解約のタイミングといえます。


例)2月15日現在で、解約通知期限が30日前まで・家賃発生日が毎月1日(月割り)の場合……最も損をしない解約(退去)日=3月31日


退去月の家賃計算が『日割り』の場合は、入居時期や引っ越し日などの都合で決めればよいでしょう。

3.解約取り消し・延長は可能か

解約手続き後、あまり時間がたっていない場合は解約の取り消し・延長を受け入れてもらえることがあります。ただし、次の入居者が決まっている場合は不可能です。


解約取り消しや解約日の延長をしたい場合は、できるだけ早く申し出ることが大切です。

4.賃貸解約は本人以外でも可能か

解約通知書の記載は、契約者本人がおこなう必要があります。同居人や親族、連帯保証人であっても、本人なしで賃貸借契約を解約することは難しいと考えましょう。


退去立ち会いは、委任状を用意すれば代理人がおこなえます。

5.下水が臭いなどの理由で解約できるか

下水が臭い・騒音がひどいなどの理由でも、解約は可能です。ただし、賃貸借契約書にそった解約違約金の支払い義務は発生します。解約・退去を考える前に、物件管理者にトラブルに関する相談をしましょう。


臭いの原因が、設備の不具合であれば貸主側に修復責任があります。騒音トラブルでは、隣人への注意喚起をしてくれるはずです。違約金とは別問題ですが、物件環境が原因で健康被害などが起こった場合は、損害賠償請求ができることがあります。

まとめ

賃貸物件の解約連絡を『いつまでに』『どのように』するのかは、賃貸借契約書で確認できます。解約・退去する際には、次のことも一緒に確認しましょう。

・家賃の発生日と退去月の家賃計算

・退去費用(敷金・修繕費のルール)

・解約違約金の有無

上記を知れば、スムーズに解約手続きが進み、費用面で損をすることもありません。


新居に引っ越すときには、荷造りの他にも住民票の変更やライフラインの解約(転居)手続きなど、多くの準備が必要です。この記事を参考にして、新生活への準備をサクサクと進めてくださいね。

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