不動産コラム

賃貸の床のへこみはどうすればいい?修繕費の負担やへこみの予防法

2023/06/30

賃貸で暮らしていると、ふとしたことで床にへこみを作ってしまうことがあります。たとえそれがわざとではなくちょっとした不注意だったとしても、修繕費用を負担しなくてはならない場合があります。


そうしますと、退去時の敷金の返還額にも影響が出ます。少しでも返還額を増やすためには、床のへこみを作らないのが一番です。


しかし人が暮らしていればどうしてもへこみはできてしまうもの。そこで今回は、へこみができても修繕費を負担しなくても良いケースやへこみを防ぐ方法などについて詳しくお話しします。

賃貸の床にへこみができてしまったら修繕費用はどちらの負担か

人が住んでいれば、どうしても傷はつくものです。しかしそれが不注意によるものかどうかで、修繕費用をどちらが負担するのかが変わってきます。

通常損耗・経年劣化は家主の負担

住んでいる間に、自然にできてしまったへこみは家主の負担となります。たとえば冷蔵庫や本棚など重量のある家具を置いていたところがへこんでしまったというような場合、これは「通常損耗」といい、修繕費は大家さんが負担するものです。


これは、改正民法第621条「賃借人の原状回復義務」に明記されています。借主は借りたものを返す時に原状回復義務を負っていますが、「通常の使用による損耗や経年劣化は除く」とされているのです。


どんなに丁寧に住んでいても、自然と起きてしまう損傷なので借主の負担とはなりません。日当たりの良い部屋で床が変色してしまう場合などと同様に、自然に起こる現象であれば借主が責任を負わなくても良いということです。

故意や不注意で傷をつけた場合は借主の負担

誰が住んでいても仕方なく起こる現象であるといえない場合には、借主の負担となることがあります。


たとえば、

  • 重いものを不注意で落として床がへこんでしまった
  • 家具を移動させる時に床が傷ついた、へこんでしまった

などです。


故意にへこませたわけではなくても、修繕費は借主負担となってしまいますので注意が必要です。


これは、賃貸契約の中に現状回復義務について定められているためです。故意や不注意によって物件に傷をつけた場合には、入居時と同じ状態に戻さなくてはならないとされているのです。

材質別・賃貸の床にへこみができる原因

賃貸の床には、さまざまな材質があります。その材質によって、へこみ方も違います。

フローリング

フローリングはおしゃれなイメージですが、傷やへこみにはとても弱い材質です。木は思いのほか柔らかく、ものを落とせば簡単にへこんでしまいます。


また、ベッドやソファーなどを移動するときにもへこみを作りやすいので、模様替えの際には細心の注意が必要です。

クッションフロア

クッションフロアとは、塩化ビニールなどの素材でできた床で、その名の通りクッション性があります。そのため、ものが落ちた時の衝撃には強く、生活用品を落としたくらいでは、へこんだりしません。


そのかわり、重いものには弱いです。冷蔵庫やベッドなどをずっと同じ位置に置いているとすぐにへこんでしまいます。この修繕費は借主負担にはなりませんが、床のあちこちがへこむのはあまりよろしくないと思ったら、定期的に家具の位置を変えると良いでしょう。

賃貸の床にへこみができてしまったら?自分で修繕するのはおすすめしない

床にへこみができてしまったとき、退去時に敷金が減るのは困るからと自分で修繕しようとする人がいますが、それはあまりおすすめできません。


へこみに水をたらしたり、スチームアイロンまたはドライヤーで温めたりすることで床のへこみが直るというインターネット上の記事もあります。たしかに、それで直った例があるのかもしれません。しかし、あなたがつけてしまった床のへこみが同じように直るという保証はないのです。


へこみ方によってはさらにひどい状態にしてしまう可能性もあり、そうなると修繕費がかえって高くつく可能性もあります。自分で直そうとして失敗し、結局業者にお願いするケースはよくみられます。もしへこみができてしまったなら、その時点で早めに大家さんか管理会社に相談し、すぐに修繕した方が結果的にお金がかからずに済むでしょう。

賃貸の床にへこみを作らないためにできること

それほど重くないものを落としたときでも、へこみができるときはできてしまうものです。できるだけ床に傷を作らないよう、日頃から注意しておくことをおすすめします。具体的な対策をいくつかご紹介します。

ソファや重い家電には裏にクッションシールなどを貼る

家具を置いていて自然にできたへこみは経年劣化に含まれますので、修繕費用は家主持ちになります。しかし家具を動かしたときにできたへこみは、自分の負担となってしまいます。気をつけるのは、模様替えをするときなどに家具を動かす場合です。


ソファやテーブル、棚、重さのある家電などは脚にカバーをつけておくことをおすすめします。見た目はイマイチになってしまうかもしれませんが、脚カバーは100円ショップでも買えますし、リーズナブルな方法です。もしくは、傷防止のシールを貼るという方法もあります。

ラグを敷く

キャスター付きの椅子や重い棚など引きずった時に傷ができそうな家具の下や、キッチン周りなど物を落としがちな場所にラグを敷くのもおすすめです。ラグがあれば何か物を落としても、よほどのことがない限り大きなへこみができることはないでしょう。

マットやフローリングタイルを敷く

テーブル周りは飲み物などをこぼしてしまうこともありますので、毛足の長いラグよりも撥水タイプのマットの方が掃除がしやすいです。


もしくは、部屋全体にフローリングタイルを敷いてしまうのもよいでしょう。接着剤不要でおくだけで設置できるフローリングタイルなら、元々ある床に傷がつく心配もないですし、現状回復も簡単です。

ワックスを定期的にかける

大きなへこみは防げませんが、小さな傷ならワックスで防止することができます。定期的にワックスがけをして表面をコーティングすることによって、傷も汚れもつきにくい床になります。ツヤも出て見た目もきれいになります。


ちなみにワックスがけは本来大家さん側が行うべきもので、入居者が費用を負担しなくてもよいものです。ワックスをかけるには古いワックスを一度剥がしてから行った方が良いので、大家さんか管理会社に相談してみましょう。

入居する前に床をチェックし写真を撮っておくべし

入居してからふとしたときに、床にへこみがあることに気づくことがあるかもしれません。しかしそのへこみが、自分がつけたのか、それとも元々ついていたものなのか、わからないこともあるでしょう。


もしそのままにしておくと、退去時にあなたの責任になる可能性があります。床のへこみの修繕費用として敷金が必要以上に引かれてしまうかもしれないので、自分がつけた傷なのかどうかをはっきりさせておく必要があるのです。


ですから引っ越しをする前に、必ずすみずみまで床のチェックをしましょう。そして証拠の写真を撮っておきます。


一般的には、入居する時に「入居時チェックリスト」や「現況確認書」というものを渡されると思います。引越しの準備などで忙しく、適当に書いて出してしまう人がいるのですが、この書類は非常に重要な物なので、しっかりとチェックしてください。


管理会社は、入居時の状況を細かく把握していません。ですから、退去時につけた覚えのない傷についての原状回復費用を請求されてトラブルが起きるのです。


もし床のへこみを見つけたらその指摘とともに写真を添付して提出することをおすすめします。提出期限が決められていますので、期限内に提出しましょう。期限を過ぎてしまうと、「不具合なし」とみなされてしまいます。

まとめ:賃貸の床のへこみは経年劣化なら費用の負担なし

賃貸物件で床にへこみができてしまったとしても、それが家具を置いていたことによる自然なへこみであるなど、通常損耗、経年劣化の範囲であれば借主が修繕費用を負担する必要はありません。


ただし、故意または不注意によってへこみを作ってしまった場合には借主の負担となり、修繕費用が敷金から引かれることになります。そうならないよう、床にラグを敷いたり、重い家具には脚カバーをつけるなどしてへこみができないように気をつけましょう。


また、入居時からあったへこみが自分の責任にならないように、へこみがあれば「入居時チェックリスト」できちんと申告しておくことをおすすめします。


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